【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

満員電車の中で揺られる【短編】

#parallel123world99[短編26]

 

 

満員電車。

都会では日常。

田舎でも日常?

電車の本数。

満員の定義。

 

 

人が過密しているところは、暑苦しいし気持ちが悪い。人の吐き出した息を吸い込んでいる気がする。田舎ではあまり感じない。酸素供給が間に合っていない感じ。死にそう。割と簡素な吊り広告。やたらうるさい、女子大生のかたまり。学生服の高校生。仕事帰りの無表情なサラリーマン。人が渦巻いて、定期的な電車のリズムにのっている。自分の内面、外見の話を大きな声で話す。小説を左手に持ち、つり輪に右手をかけているマダムは女性の品がある。群れている女子大生もいずれはこうなるのか。

 

 

 

同じ箱に入って、揺られる空間。目的地は同じはずなのに、その後の行き先は違う。その地に降り立ち、家路につく人、働く人、遊ぶ人。何か似ている気がする。同じ時間を過ごして、ゴールは決まっている人生に。同じ時代を過ごす、その中にある何通りもの幸せ。

 

 

貯金残高が気になり、人生の残り時間が気になる。やりたい事を天秤にかけ、今の安定をとる。そんな感じ、それもまた幸せなのかもしれない。若さは武器と言うが、年齢は本当に関係あるのだろうか。気にしているのは、周りではなく自分なのだろう。全てにおいて。だからこそ、自分という人間を知り、諦め(明らかにして)認めたい。

 

 

満員電車とういう雑踏の中、思想を膨らませ、1人になれないこの場所で、独りになる。

 

#GWblog毎日更新企画⑦