そこへの道は遠かった。
士別、名寄、ここまでは大丈夫。
ここから先は、人間は住まない世界。
人間が住めない世界。
ここは日本何だろうか?
と人生で初めて思った。
生まれも育ちも九州。
こんな広い平野。
こんな寒い空気。
人の気配を感じない60kmの真っ直ぐな道。
雨と気温、風で心身共にズタボロ。
寒いと言うのは始めのうち。
それからは痛いだけ。
意識は朦朧としていた。
朦朧とさせた。
意識を持つと生きている心地がしないから。
結局、目的地5km手前でバイクは止まった。
もう頑張れない。
諦めた。
タクシーに乗った時に
じんわりと体温を感じだした。
温かい感覚ではなく、手があるという感覚。
宿のシャワーで身体を温める。
頭がぼーっとする。
生きてる。
日常を感じる非日常であった。
あったかい布団に入ってる。
7時間前の自分に言う。