【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

国道40号線

 

北海道陸の孤島稚内

そこへの道は遠かった。

旭川を出て、250kmのところに稚内はある。

士別、名寄、ここまでは大丈夫。

ここから先は、人間は住まない世界。

人間が住めない世界。

ここは日本何だろうか?

と人生で初めて思った。

生まれも育ちも九州。

 

こんな広い平野。

こんな寒い空気。

人の気配を感じない60kmの真っ直ぐな道。

 

雨と気温、風で心身共にズタボロ。

寒いと言うのは始めのうち。

それからは痛いだけ。

意識は朦朧としていた。

朦朧とさせた。

意識を持つと生きている心地がしないから。

 

結局、目的地5km手前でバイクは止まった。

もう頑張れない。

諦めた。

 

タクシーに乗った時に

じんわりと体温を感じだした。

温かい感覚ではなく、手があるという感覚。

宿のシャワーで身体を温める。

頭がぼーっとする。

生きてる。

 

日常を感じる非日常であった。

あったかい布団に入ってる。

7時間前の自分に言う。