【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

空っぽのコップ

#parallel123world105[短編30]

 

途方も無い、空虚な。

まるで、何も入ってないコップ。

 

 

 

コップは何か液体を入れて、その液体を飲む為のものであって。何か液体が入っていなければ、なんの意味も持たないものに変わる。つまり、その用途を間違えるまたは、うまく使わなければ、宝の持ち腐れになると言う事だ。

 

 

 

孤独を感じる時、耐えられなくなる。いつもは、誰かに頼ってしまう。今はただ、自分の全てでこの孤独を受け止める。暗闇を必死であるけど、そこには何もなく。あるのは、ただこの自分の身だけ。どこを探しても、何をしても、あるのは自分だけ。

 

 

 

綺麗なものにふれれば、綺麗になれる。たとえ、それが一瞬でも、息をしている生きている事を、心と体で思い知らされる。

 

 

 

私という容器に、今、いったい何を入れるべきなのだろうか?答えはまだ見つからない。これからも。

 

 

 

ただ、あなたに触れた、あの梅雨の合間。古本屋の、端っこにあった本の1ページ。レコードから流れる、擦り切れた音。喫茶店に飾られていた、女性の絵。その、全てにあって。私には無いもの。その全てが、私を満たすように。明日がまた、幸せで満たされますように。