その山はもう4月が終わろうとしてるのにも関わらず、まだ頭が白かった。
遠くから見るとそんなに大きくは感じないが、近くに寄るとその大きさを実感した。
自分は一体何者なのか。
1番近くにいる自分には、近すぎてわからない事なのかもしれない。
あの山のように、頭が白くなる時までにその答えが見つかるといいな。
アクセルを回る、クラッチを切る。
冷たい4月の風が顔に当たる。
まだ、こちらは寒い。
全てを捨てた訳ではない。
むしろ、全てが自分になっただけだ。
これから向かう先を矢印はさしていない。
心のおもむくままにアクセルを回す。