【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

ねぼけまなこで【短編】

#parallel123world45[短編7]

 

 

君が隣で寝ている時。

とても幸せな気持ちと反対にとても怖くなる。

 

25歳の時。

仕事に疲れ果てた頃。

居酒屋に1人でいき、2、3杯呑んで帰ることが習慣になった。

いつもの居酒屋のいつもの席。

いつもの違ったのは、

常連の中にいた君の存在。

 

なぜだか、気になる存在だった。

綺麗な顔をしていて、でもどこがずれている。

大きな闇を感じるが、光っている。

魅力的だった。

声をかけるなんてできないから。

気づかれないように見ていた。

 

 

今日は、2杯呑んだら帰ろうと思い。

グラスのアルコールを呑み干した。

勘定を済ませて、バックを持つ。

とてつもない後悔を残して店を去る。

よくある恋愛ドラマでは、

ここで相手が話しかけてくる。

そんなことは起こるはずがない。

店を出て、駅まで歩く。

18歩歩いたところで、引き返す。

 

やはり、連絡先を聞こう。

 

店に入ると、君がいた。

 

そんな感じに、一方的片思いから始まった。

 

 

そんな君が、

今隣で幸せそうにスヤスヤと寝ている。

あまりに幸せそうで、こちらまで。

そのまま眠りにつく。

 

 

午前3時。ふと目がさめる。

隣を見ると、幸せそうに寝ている君。

 

ふと怖くなった。

寝ている君を起こして

生きていることを確認した。

寝ぼけている君は

ふにゃふにゃと何か言いながら笑う。

 

 

人間は幸せを貪る。

なくなることに不安と恐怖を感じる。

 

 

また、眠りについた君を見ながら。

安心してうとうとと、世界がまぶたの中に入って行く。