【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

あんぱん

#parallel123world60[日常23]

 

 

「皆さんは、何かを食べて泣いた事はありますか?」

 

 

生きてきて24年。

陸上競技をしていた期間、11年間。

なんで、あんなにも真っ直ぐ

走ることだけを考えていたのか。

自分でも疑問に思うくらい、真っ直ぐに走っていた。

小6から、誘われて入った陸上。

 

それからと言うものの、走る事だけ考えてた。まさに、陸上馬鹿という、そんな感じ。

 

高校時代が一番、その傾向が強い。

 

食べるものを制限し、恋をする事を制限され、寝る時間から起きる時間まで制限し、携帯は回収され、先輩や後輩と2人部屋、親元を離れ、ままならない思春期。

 

そんな、高校2年の春。

故障で、走る事が出来ず、毎日、筋トレと、自転車で30分かかるプールまで行き3000m泳ぎ、また自転車で40分かけて帰る。食事も制限し、カリカリになった身体。それでも満足いかず、絞りまくった。歩くだけなのに、視界がゆらゆら揺れていて、とりあえずしんどかった。

 

 

そんな時に、寮まで来てくれて、母がこれなら太りにくいと、あんぱんをくれた。体重を増やしたくないから、食べたくない。なんで、そんなもの持ってきたの?って、怒ったのを覚えている。

 

一口食べるという事が、とても怖かった。でも、甘いものが食べれると思うと、嬉しくて。あんぱんを一口食べた。

 

 

涙が止まらなくなった。

 

 

たかが『あんぱん』なのに、涙が次から次に、こぼれた。食べてしまったという自己嫌悪と、久しぶりの甘いもので、とても美味しく感じて、それがまた悔しくて。一口でやめようと思ってたのに、母が進めるから、半分食べた。

 

 

 

あの時の『あんぱん』どこで買ったんだろ?

思い出のあんぱん。でも、今買って食べてもまったく、あの時の美味しさは感じれないと思う。

 

高校の同級生と、会って、そんな事を思い出した。