【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

フィルター【短編】

#parallel123world95[短編24]

 

 

フィルター越しの世界は、どこか窮屈でどこか気持ちいい。フィルター。物理的にも、精神的にも。この世の中にはフィルターがかかってることが多い。

人はよく、写真を撮る。何を撮るのかは人それぞれだが、その一瞬を頭や心にだけではなく、形として残したいと言う気持ちが湧く。カメラを通してみる世界は、狭い。ある一定の空間の視覚的思い出。人間の目は優れていて、カメラでは見えないものがみえる。でも、逆にカメラというフィルターを通してみえるものがある。どちらがいいではなく、どちらもいい。

空気洗浄機フィルターを通して空気を吸う。害があるかないか、綺麗にされた空気、そもそもいつも吸ってる空気が汚れてる感覚がそんなにない。田舎で生まれ田舎で育った、いつでも空気は綺麗で澄んでいた。都会に行くと気づく、地元の空気の綺麗さ。人の少なさも関係ある。人間が地球にいる限り、空気洗浄機の需要はなくならないな。

人間関係のフィルターは、とても厄介。なかなか、外すことができない。なんで、作ってしまったかも忘れるくらいなのに。外すことがとても難しい。生きている限りとることができないのか。薄くしたり、違うものと交換、いろいろ試してみるけど難しい。無防備になる事は怖い、だって傷つきたくないでしょ。人を傷つけた事に気付かず、自分が傷つきたくないと叫ぶ。外す勇気があるなら、つけない勇気を。

フィルターも、掃除しなければ汚れる。それを通して、みえるもの吸うものが汚れる。だから、人間に備わってるフィルターも定期的に交換したり、掃除する必要がある。

フィルターは、出来るだけ必要ない生き方をしたいが、生きている以上お世話になりそうだ。ない事を前提に、ある事に気付かず生きていくと、何か大切な事を見落とす。ある事を前提に、無くしていくと見えてくるものもある。なくてもいいフィルターは、無くしていこうと思う。

 

 

雨が降ると憂鬱。そんなフィルターも、今日はゴミ箱に捨てようと思う。

 

 

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