【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

AIには覚悟がない。

[覚悟]

1 危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること。
2 仏語。迷いを脱し、真理を悟ること。
3 きたるべきつらい事態を避けられないものとして、あきらめること。観念すること。
4 覚えること。記憶すること。

5 知ること。存知。

 

 

[本編]

 

「AIには覚悟がないんだよ。」

新幹線の車内、右斜め後方からそんな声が聞こえた。上司が部下に熱く語っているようだ。すごく気になり、良くはないが聞き耳を立てた。

「なんでもかんでも理屈で解決するな。そもそも、AIはごめんなさいが言えない。」

何があったのは、全くわからないがAIと若者に苦言を呈しているようだ。まあ、言わんとする事はわかるような気もする。要はやることには、覚悟を持てという事。心を込めて仕事をしろ、人生を賭けて仕事をしろ的な事が言いたいのかなと。そんな事を考えていると、最後に決め台詞のように、

「だから、最近の若者は。」

と言って2人の会話(一方的な説教)は幕を閉じた。

 

この地球に人類が誕生したのは、およそ500万年前。その時代には、「だから、最近の若者は。」という言葉は無かったと思う。しかし、およそ5000年前メソポタミアで文字が生まれた頃からは、洞窟の壁にも「だから、最近の若者は。」に似た事は書かれていたかもしれない。何がいいたのかっていうと、人類が進化していく過程で絶対的に新旧交代が行われる。したがって、旧型人間と新型人間の思考には差が生じる。旧型人間の思考では、新型人間はこれからの時代を生きづらいからだ。

 

AIに覚悟があるかないかは、置いておいて。「だから、最近の若者は。」という人間にも、これから変化する世の中を受け入れる覚悟が必要なのではと思った。その覚悟がないから、"これまで(過去)"を肯定し、"今(現在)"を否定し、"これから(未来)"を拒むのかもしれない。この世は無常の風が吹いている、どの時代でも変化している。

 

いつの時代も大切なのは、中途半端な"覚悟"ではなく、いろんなものをひっくるめた上での"覚悟"なのかもしれない。

 

新幹線は、目的の駅に着いた。