【parallel _123_world】

自分も知らないもう一人の自分、あなたの中にも。

はじめましてさようなら【短編】

#parallel123world75[短編14]

 

 

人生は、出会いがあれば別れがあると昔から言われている。現に、そうである。「はじめまして」と挨拶を交わした時から「さようなら」がつきまとう。良い出会いならば、できるだけ

「さようなら」までを引き延ばしたくなる。

しかし、いくら引き延ばしても、いづれ「さようなら」はやってくる。

 

しかし、毎日毎日「さようなら」ばかりに目をやると、なぜか無性に寂しくなる。だから、忘れる。気づいたら、明日には「さようなら」。

では、そもそも「はじめまして」がなければいいのかと考えるが、それとこれとはまた違うわけで。

 

出会いも欲しいが、別れは嫌だと。駄々をこねてしまう始末。まるで、おもちゃをとられた3歳児のように。泣いてもどうにかなることではないことは、百も承知。しかし、その事に気づくのは何歳の時だろう。そして、どんな時だろう。コンビニで野菜ジュースを買った時、定員さんとの別れ。3年間通った学校を卒業する時の別れ。長年使っていた靴がボロボロになった時の別れ。身近な人の死。

 

種類は様々。どんな時でも、人は「はじめましてさようなら」。愛する人とも、嫌いな人とも、自分の記憶とも、なにもかも。

 

 

だからこそ、最後に付け足そう。

「はじめましてさようなら、ありがとう。」

これからまた、自分史上最新の時刻がやってくる。

そんな日々に

 

 

「はじめましてさようなら、ありがとう。」