#parallel123world79[短編17]
何が不満なのか、その答えは割と明確だった。しかし、そのことに苛立ちを覚え、腹立たしく思っている自分に驚く。そんなにも、その人に対しての想いがあるのだと。「これくらい大丈夫。」と思ってたが、案外僕は女々しいようだ。
少し前からお互い忙しくなり、日々疲れが溜まっていた。その人は、僕の前では素でいてくれた。だから、気丈に振る舞う訳でもなく、こちらに構う訳でもなく、ただ『無』という感じ。
そのことを、少し寂しく想い、その後はなぜか苛立ち腹立たしく思ってきた。
しかし、よく考えてみたら。そんな存在になれていることが、とてもすごいことなのかもしれない。そして、「あなたの前だと、素でいられる。だから、こんな風になっちゃうけどごめんね。」って伝えてくれる、その人の愛くるしさに気づいた。
最近の僕と言ったら、自分も疲れてるからって、「構ってほしいのに」なんて思いながら、ふてくされていた。なんだか、そのことが恥ずかしくて。でも、本人には言えなくて。無性に手紙を書きたくなった。送る訳でもない手紙に、その気持ちを綴った。
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僕はたぶん、あなたに恋をしています。
平気だと思っていたけど。
案外、君がいないとだめです。
ドラマや映画をみて馬鹿にしてた奴に、自分がなっていています。
笑えてきたので、手紙を書きました。
こんな時もあります。
でも、始まれば終わるし、終われば始まる。
また落ち着いたら、会いましょう。
そして、美味しい焼肉を食べましょう。
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そこまで書いて、手を止めた。
あっ、僕はこの人がいいんだ。
恋は盲目。